町田市社会福祉協議会 ここなび

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2017年09月

生きることに悩むあなたに読んでほしい!

「3日間の幸福」
     著者:三秋縋(みあき すがる)  メディアワークス文庫

「では皆(みな)さんは、そういうふうにかけがいのないものだと言われたり、何よりも価値のあるものだと言われたりしている『人間の命』は、実際の金額にすると、いくらくらいのものだと思っていますか?」学級担任はこのとき、「正解はない」と言った。

主人公こと俺(おれ)、クスノキは小学生の頃から浮(う)いた存在だったが、唯一(ゆいいつ)心の通じ合う幼馴染(おさななじみ)ヒメノの言った「私たちは将来、とっても偉(えら)くなる」という言葉を信じ続け、二十歳(はたち)になった。しかし、ヒメノとは彼女の転校で離れ離れになり、この世界に馴染(なじめ)ず、今までずっと孤独(こどく)に生きてきた。

お金に困ったクスノキは古本屋の店主とCD屋の店員から寿命(じゅみょう)・時間・健康を買い取ってくれる不思議な場所があることを聞く。なかば自棄(やけ)でクスノキは自分の寿命を3ヶ月分だけを残してすべて売り払(はら)った。受け取ったお金は、サラリーマンの平均的な生涯(しょうがい)賃金である2億から3億よりもずっと低い、30万円。まるでその値段はクスノキの価値のように思えた。

寿命を売って余命が1年を切った者には監視(かんし)員が付き、クスノキは監視員の女性ミヤギと生活することになる。部屋の隅(すみ)に三角座り、まるで人形のような彼女と過ごしていく内にクスノキは見ないふりをしていたものに気付き、新たなものを見つけ、変わっていく。クスノキに対して素っ気ないミヤギもまた、過去を紐解(ひもと)きつつ変わっていく。

クスノキ、そしてミヤギが見つけた3日間の幸福とは――

「自分は何のために生まれたのだろう?」「自分には価値がないのか?」「幸せって何?」「成功って何?」「良い人生って何?」この小説はそんな疑問が詰(つ)め込(こ)まれた作品です。

この本から読み取れること、感じることは人それぞれだと思います。多くのテーマが詰め込まれた本なので、人によってキャッチすることが違(ちが)います。私がこの本からキャッチしたのは「変わることができる」ということと、「幸せは他人によって決められるものではない」ということ。この本を読んだあなたは、何をキャッチするでしょうか?誰のどのセリフが心の琴線(きんせん)に触れる(※注1)でしょうか?

この本のタイトルは読み終えた人にだけ意味が分かります。できれば、あとがきまで読んでみてくださいね。

※なお、この作品は「寿命を買い取ってもらった。一年につき、一万円で。」というタイトルでウェブ上に公開されていたものを文庫化したものです。

注1: 良いものや、素晴らしいものに触れて感銘を受けること。