好きな人は「やさしい人が好き」といっているのに、私はどうしてもやさしくできません。どうすればやさしくできますか?
回答
今日、小学校一年生の女の子が、そっとやって来て「うちのおばあちゃん認知症(にんちしょう)なの」と言いました。「おばあちゃんのこと好き?」と聞くと、「うん」とうなずきました。「やさしくしてあげてね」と言うと、「うん」と言いながら、ホッとした顔をして外へ出て行きました。好きな人にはやさしくしたいと思うものですし、そう出来るものです。でも、あなたは好きな人にやさしく出来ずに困っている…。
あなたは天邪鬼(あまのじゃく)ですか? きっとそうではないと思います。好きな人の言う「やさしさ」が納得できないのではないかと思います。では、やさしさについて考えてみましょう。
世間では、自分の言うことを聞いてくれる、気を遣(つか)ってくれる人を「やさしい人」と言うことが多いと思います。でも、これらの裏に、しっかりとした自尊(じそん)感情※注1をもって、相手への深い思いやり、大切なことをキチンと主張する強さがなければ、それらはただの「やさしさもどき※注2」に落ちてしまうのです。見ための行動は同じでも、自分の弱さや自信のなさから来た“対等”ではない「やさしさもどき」と、本当の意味の「やさしさ」をハッキリ区別しなければいけません。やさしいことは強いことなのです。
こんなことを是非、あなたの好きな人と話し合ってみて下さい。「やさしい」ということをどう考えているかを、じっくり話し合って下さい。その話し合いの中で、あなたとその人はもう一段仲良くなり、二人でやさしくなれることと思います。
※注1 自尊感情: 自分を大事にする気持ち。
※注2 もどき: 他の物に似せて作ること、また作ったもの。
回答
好きな人にはいろいろ気をつかったり、やさしくしてあげたいと思うのは誰でも同じです。あなたは‘好きな人にやさしくしたい’のに‘やさしくできない’ことに悩んでいるようですね。同性の好きな人にはやさしくすることはできても、異性の好きな人にはそのようにできない、ということだと思います。
でもね、あなたの好きな人にやさしくできないのは、おかしいことではないんですよ。あなたのように思春期(12才~16才位)を迎えると、精神的にも身体的にも様々な変化が現れるようになります。例えば、今まで以上に人の眼を気にしたり、異性への関心が強くなり、異性に近づきたい気持が強くなる一方で羞恥心(しゅうちしん)※注1も強くなったりします。今まで何とも思っていなかった異性にたいして、特別な感情をもつようになった自分に戸惑いを感じるようなこともあるでしょう。このような異性に対する感情の変化を他人にしられたくない、異性には関心なんか無いんだという気持ちの現れから‘好きな人にやさしくできない’ということになってしまうのではないか、と思います。また、好きな人にやさしくすると、それを見た友達などが《からかったり、冷やかししたり》するかも知れないという心配もあるでしょう。人にやさしくすることは、その人との人間関係をよくするために、とても大切なことであり、あなたの精神的な成長にとっても必要なことです。
あまり人の眼を気にしないで、自分の気持ちに素直に従って行動できるようになれればいいですね。
※注1 羞恥心: 恥ずかしく思う気持ち