社会福祉法人町田市社会福祉協議会
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広がる、読書の世界

今年の夏も、暑かったね~。みんな元気かな?夏休みが終わり、これから少しずつ涼しくなってくるね。

昔から、過ごしやすい秋の夜長には読書がぴったりと言われているけれど、みんなには“お気に入りの本”や“とっておきの一冊”ってあるかな~?

本を読んで感動したら、その感動を友だちや家族などまわりの人に伝えてみるのもいいね。さらに新たな発見ができるかもしれないよ。

それから、まだ気に入った本や読みたいものが見つからない…というあなたは、今月の記事をヒントに、探してみよう。

それでは、広がる読書の世界を楽しもう!

文学作品から学ぶ 読もうよ、文学作品を

「君はデミアンだ」と指さされました。文芸部の、憧(あこが)れていた先輩にです。

不覚(ふかく)にも、『デミアン』を読んでいなかった私は、その足で本屋に走りました。
そして、ヘルマン・ヘッセのデミアンを100ぺんも読み返しました。結局、私がどうしてデミアンなのか、解(わか)りませんでしたが、額(ひたい)にカインの印(しるし)がたしかについていると、今では思っています。

『人間失格』(太宰治)を読んだ時は、ショックでした。「これは自分のことだ」と思い、同じ思いを持つ友達と何度も人生について語り合いました。
また、山本周五郎が大好きな友達がいて、全集を読まされました。そこから学んだのは、表面に出てきた事柄(ことがら)の裏には、かくも深い人間の思いが込められている、人間って素晴らしい!!ということでした。

『星の王子様』の感想を、「これは童話?」と言うトンチンカンな教師に向かって「やっぱり大人はダメだ」と息巻(いきま)き、『平家物語』を読んで、その美しさと無常(むじょう)に涙し、とにかく、古今東西(ここんとうざい)※注1の文学作品を乱読(らんどく)しました。

本を読むことで、中・高校生時代、人生のロールプレー※注2をしていたようなものです。学生という安全地帯を出て、大きく掴(つか)みどころがなく、自分を試される社会へ出て行くための…。
そして、読んだ本を友達と語りあうことによって、自我(じが)※注3を固めていったのだと…。

時代を越えて伝わってきた文学作品は、時間と人の審美眼(しんびがん)※注4によって研磨(けんま)され、読んだあなたの心の糧(かて)となることを、私が保証します。
読みましょうよ、文学作品を…。絶対、損(そん)はさせません。

◇言葉の説明

※注1 古今東西(ここんとうざい)…いつでもどこでも。
※注2 ロールプレー …前もって実際の場面を思いえがき、物事が起こったとき適切に対応できるようにする学習方法の一つ。
※注3 自我(じが)…他者や外界から区別して意識される自分。
※注4 審美眼(しんびがん)…美を見極める力。

大好きな人のことを、ちっちゃい声でちょこっと話します。

風がどうと吹き、どってこどってこと、きのこが楽隊をし、人々は森に「ここで畑を起こしてもいいかなぁ」と呼びかけてから畑を起こす、そんなイーハトーヴォ※注5を描いた、宮澤賢治(みやざわけんじ)が大好きです。

賢治と同じ地に立ちたくて花巻(はなまき)に行き、清六さん(宮澤賢治の実弟)に“イーハトーヴォ探検隊”に任命されたのは40年も昔の話しです。そこで、憧(あこが)れの地で賢治を感じました。

その時から私は賢治と二人で歩いています。私の座標軸(ざひょうじく)※注6がそこに決まりました。今、宮澤賢治が、その作品が、この世から消えてしまったら、私は厚さ2㎝のペラペラ人間になってしまうと思います。それほど深く関わり、大切な存在なのです。

皆さんも出合って欲しいと思います。どこまでも一緒に歩ける人(作者)に、親友となる「本」に出合って欲しいのです。そのことが、どれだけ素晴らしいことなのか…。本の森にいる先達(せんだつ)※注7として、皆さんに伝えたいと思います。

◇言葉の説明

※注5 イーハトーヴォ…岩手が由来の宮澤賢治の造語で、理想郷を意味するとも言われる。
※注6 座標軸(ざひょうじく)…自分の位置を決める柱。
※注7 先達(せんだつ)…その道の先輩、案内者。

非文学作品から学ぶ

小説のような文学作品だけが本ではありません。
ここでは、文学作品ではない本についてお話しようと思います。

1.辞書(じしょ)を使いこなす

授業中や本を読んでいる時に分からない言葉がでてきたら、みなさんはどうしますか?
先生や、お父さん・お母さんに聞くのもいいですが、いつも近くにいるとは限りません。
その時は、ぜひ自分で辞書を引いてみましょう。

辞書には言葉の意味が分かりやすく書いてあります。
あまり辞書を使わない人も、試(ため)しに一回見てみてはどうでしょうか。
普段使っているような言葉でも、意外な発見があったりしますよ。
それにページをぱらぱら見ていると、つい他の言葉に目がいってしまったりもします。
ついでにその言葉も覚えたり、関係のあることを色々調べたりしていると、いつの間にか言葉に詳しくなっていることも辞書の素晴らしいところです。
辞書を使いこなして、言葉を味方につけてください。
言葉を上手に使えれば、家族や友だちや先生などに自分が思っていることを、より正確に伝えることができます。それは人間関係を円滑(えんかつ)※注8にするために、とても重要なことです。
辞書は、必ずこれからの人生の助けになることでしょう。

2.図鑑(ずかん)を見る

図鑑を見るのが好きな人はいっぱいいると思います。
動物や植物、乗り物や宝石など自分の興味のあるものを図鑑で見ているだけでもたのしいものです。
でも、例えば動物を見たければ動物園に行けばいいと思う人もいるかもしれません。
しかし動物園は遠いですし、行きたいと思ってもなかなか行けません。

そういう時は図鑑の出番です。
図鑑なら学校や図書館、家の中で簡単に、自分のペースで、好きなものを好きなだけ見ることができます。そして、日本には無い珍しいものでも、簡単に見ることができます。
このように、図鑑は遠くに行かなくても色々なことを見て学ぶことができるのです。

●漫画(まんが)を「読む」

みなさんは漫画を読んでいますか?それとも見ていますか?
漫画も立派(りっぱ)な本です。
小説は文章で全てを表現しますが、漫画は絵と文章の両方で表現します。
漫画は絵のおかげで、内容が理解しやすくなっています。
でも、そのせいで漫画を見るだけの人も多いのです。
みなさんはぜひ漫画を読んでみてください。
そして、分からない言葉があったら辞書を引いてみてください。
そうすれば、ただ見ているだけより、より多くのことを学ぶことができます。

他にも文学作品ではない本はいっぱいあります。
文学作品だけではなく、このような本も活用して、これからの人生をより豊かにしてください。

◇言葉の説明

※注8 円滑(えんかつ)…ものごとがスムーズでなめらかに、さしさわりなく行われること。

感動を伝えるコミュニケーション

読書は心の栄養

あなたも、伝える喜び、共有する楽しさを味わおう!

読書は、人生の友であり、心の糧(かて)になります。一冊の本が人の人生を決定することもあります。だから、子どもや多くの人たちへ知識や感動、読書の喜びなどを伝えてほしいのです。

1 本との出会いと読みたい本の探し方

・普段からいろいろな情報に耳を傾(かたむ)け、アンテナを高くはる。
例えば、NHKの大河ドラマ「篤姫(あつひめ)」から人物や歴史の背景を探ってみる。友達の読んでいる本や本の話題に耳を傾(かたむ)ける。新聞や雑誌の本の紹介欄(しょうかいらん)、インターネットから読んでみたい本を探す。近くの図書館や本屋さん、古本屋さんにこまめに足を運ぶ。

・本の借り方・買い方
本が見つかったら表紙、もくじ、文章の量は適当か、(さ)し絵や写真を確かめる。
買うときは値段も参考にしましょう。

・あとは、本を楽しく読むことです。そのためには気持ちを集中させて読むことです。感動したことや学んだ知恵を読書記録として残しておくのもよいでしょう。

2 ボランティア活動で、本好きの子を増やそう

読書の輪を広げるには、おはなしやブックトーク、紙芝居などあります。
例えば、ボランティアを通して子どもたちへの「読み聞かせ」が有効であり、あわせて自分を高めます。

  • 読み聞かせ
    読み手であるあなたが、感動した喜びを子どもたちに伝えます。そして、お母さん方や子どもたちと共感し、本との出会いを楽しみます。
  • おはなし
    語り、語りきかせ、素(す)ばなし、ストーリーテリングなどと言います。あなたが、物語を覚えて本を持たずに語ります。長所は、子どもたちにあなたの温かさやゆとりが伝わり、心に感動が深く残るところです。
  • ブックトーク
    数冊以上の本を一つのテーマ、例えば、「手」とか「命」などを決めて、文学・非文学も交(まじ)えて本を集めます。そして、一冊ずつ本を紹介するのです。小学生以上の子の本との出会いつくりです。
    例えば、豆腐(とうふ)屋さんがある。「豆に関する本」の紹介をする。おもしろそう、読んでみようという意欲に繋(つな)げる。
  • 脚本や人形劇・紙芝居つくり
    物語や童話を読んで、人形や紙芝居を作ります。幼児や、入院中の子どもたち、デイケア-センターの高齢者に喜ばれます。

*ひとりでも活動できますが、できれば、グループやサークルに入り仲間と一緒にやってみてはどうでしょうか?近くの図書館に出かけ、活動サークルを紹介していただくとよいでしょう。

*町田市立図書館でも、「お話し会ボランティア養成講座」が開かれています。
ここでは、子どもと本とを結びつけたり、図書館に親しみを持たせ読書の楽しさを味わわせています。

<実践編>

読み聞かせをするときの心構え

  • 主役は、聴き手。話し手の一方通行ではなく、子どもたちの表情を見つめながら、間をとりながら本の世界に引き込む努力をしましょう。
  • 下手でも読み聞かせのひとときを楽しめればよいですが、本番前に2~3回下読みしておくとよいでしょう。

*目の不自由な人のために点字の本や録音図書つくりのボランティアもあります。

読書と環境

本のある生活 ~本と友だちになろう~

今、図書館は楽しさでいっぱいです。
お話会、映画会など、各図書館でイベントを計画して皆さんを待っています。

もちろん、本の世界に皆さんを誘い、深く物語に引き込み、喜んだり、悲しんだり、感動したり、あたかも自分が主人公になった気分を味わわせてくれます。
町田市や地域では、皆さんが読書に親しむための、環境作りに努力しています。大いに利用して、楽しい読書の時間を創(つく)り出しましょう。

町田市立図書館は、こんなにありますよ

図書館は、資料や情報を提供してくれます。みなさんの生活をより深く豊かなものにしてくれます。もちろん利用はすべて無料です。町田市立図書館は次の7館と移動図書館があります。なお、町田市に住んでいれば、相模原市、八王子市、多摩市、日野市、稲城市、府中市、調布市などの近隣(きんりん)の図書館も利用できます。

☆参考リンク
町田市立図書館のホームページ
http://www.city.machida.tokyo.jp/ shi/event/library/


移動図書館(そよかぜ号)を利用していますか

現在、さるびあ図書館から2台、堺図書館から1台、 計3台で市内64箇所(かしょ)を2週間に1回巡回(じゅんかい)しています。
書籍(しょせき)数は約3500冊。新たな役割として、地域コミュニティの形成の場が加わりつつあります。本を真ん中に見知らぬ人同士の輪が広がりを見せています。

町田市にはたくさんの文庫があります

小川小おやこ文庫(小川小)、おひさま文庫(玉川学園玉川教会内)、かえで文庫(成瀬センター内)、おひさま文庫(高ヶ坂ふたば幼稚園)、にこにこ文庫(高ヶ坂保育園)、すずかけ文庫(南つくし野桜公園前・代表者宅)、ひろば文庫(木曽町・保谷宅)、藤の台文庫(藤の台ホール)、吹上子ども文庫(成瀬・丸山宅)、へそ文庫(森野・増山宅)、柿の木文庫(大蔵町)など。近くの文庫に足を運んでみてはどうですか。

柿の木文庫の活動紹介
●小学生のためのおはなし会「語りをじっくりたのしもう」
 毎月第3水曜日 本の貸し出し 2:30~3:00 おはなし会 3:00~3:30
 おはなし、パネルシアター、読み聞かせなど

☆参考リンク
町田にある文庫紹介のページ
http://f2.aaa.livedoor.jp/ ~kakinoki/bunko%20shoukai.html


図書館<実践編>

図書館で、読書の世界を広げたり課題を追求したりする調べ読みをしてみましょう。
方法
〇 図書目録(もくろく)を手に入れましょう。
〇 分からないことは、図書館司書に問い合わせてみましょう。
〇 パソコンで検索し,調べたい情報を集めましょう。