社会福祉法人町田市社会福祉協議会
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『 震災 』-「思いやりの心」

ここなびを見てくれている方で、東日本大震災(だいしんさい)で被害(ひがい)に遭(あ)われた皆(みな)さまに心よりお見舞(みま)い申し上げ、1日も早い復旧(ふっきゅう)・復興(ふっこう)と皆さまのご健康をお祈(いの)りしています。

今年度のここなびの特集は、『震災』を大きなテーマとしてそれに関係する内容でお伝えしています。

 今回は「思いやりの心」をお伝えします。みなさんの関係する場面での思いやりをまとめてみましたので、ぜひ、参考にしてみてくださいね!

地球温暖化について

今回の特集は「思いやりの心」とはどのようなものなのか、ということについて一緒に考えてみたいと思います。

皆さんも日常生活の中で「思いやり」とか「思いやりの心」という言葉を耳にすることがよくあると思いますが、その意味を言葉で説明するのはなかなか難しいものです。日常的な言葉でわかりやすく言えば、「思いやり」とは「相手の立場に立って考え相手の気持ちを大事にして行動する」ということなのだと思います。

日常生活の中で何故「思いやりの心」が大切なのかということも一緒に考えてみたいと思います。

私達は毎日家や学校や外出先などで多くの人達と関わって生活をしています。そういう中で、もし皆が「思いやりの心」を持たずに周囲の人や状況に気をつかうこともなく、自分の好きなように思いのままの行動をとったとしたらどうなるでしょうか・・・わがまま勝手な行動は周囲に迷惑をかけることになり周りを傷つけて皆が嫌な思いになりますよね。そのような事にならない為に「思いやりの心」とは私達が生きて生活していく上で人と関わる時の基本的として必要なことなのです。学校でも皆が「思いやりの心」を持って友だちと接することが出来れば差別や無視などの「いじめ」も無くなりますね。皆で「思いやりの心」が持てるようによく考えて行動していきましょう。

3月に起きてしまった東日本大震災の中でも、この「思いやりの心」を持った多くのボランティアの人達が思いや行動を被災地に届けましたね。又、国境を越えても大きな「思いやりの心」が伝えられました。中でも被災者の方達がお互いに助け合い、自分にも危険が迫っているのに津波に流されている人を助けたり、少しの食べ物や飲み物を皆で分けあって食べたりしながら命をつないでいた姿は「思いやりの心」があふれた姿だったと思います。

小学生や中学生の皆さんも「思いやりの心」を被災地のお友だちに届ける方法はいっぱいあります。

電気やエネルギーを節約すること、募金に小さな協力をすること、そして、もしおうちの方の許可が出れば、飼い主と離れなければならないかわいそうな犬や猫を迎えてあげるというようなことも出来ますね。

これを機会に皆さんも被災者の方達に「思いやりの心」を届けることをしてみるのも良いかもしれませんね。

家族への思いやり

「思いやり」は、自分が発する言葉や行動だけでは形が無く、目で見る事も出来ません。しかし、思いやりの気持ちが「相手に届いた時」は、目に見えて返ってきます。

 例えば、満面な笑顔や照れ笑いだったり、「ありがとう」という言葉や「嬉しい♪」と、感情を表した言葉だったり、時には、涙がこぼれたりもします。そんな素敵な出来事に出会えるのは、あなたの思いやりが、相手に届いた証拠なんですよ。

家族の中で思いやりの気持ちを表すのは、身近なだけに「照れ」や「甘え」に邪魔をされて、もしかして、素直に表現をすることが難しいかも知れませんね。みんなは、「家族の中での思いやり」って、どんなことがあると思いますか?

「あいさつ言葉」って、知っていますか? 朝は、もちろん「おはよう」から始まり、「いただきます」「ごちそうさま」。そして、「行ってきます」「いってらっしゃい」「ただいま」「お帰り」と、家の中にみんなの顔がそろうと、声も飛び交います。あいさつ言葉は、生活を送るのに基本となる言葉で、何気なく交わされている言葉なんですが、実は、相手を思いやっている言葉なんですよ。

みんなは、家族の人とちゃんとあいさつができていますか? また、あいさつ言葉には不思議な力が秘められています。相手から返ってきた声のトーンや振り向いた顔で、元気をもらったり、「あれ、いつもと違う?」など、相手の体調までも解ってしまうのです。(すごいでしょ♪)

もしも、「あれ・・・」と、思ったら、もう一声かけてね。例えば、「どうしたの?」と。もしかして、体調が悪かったり、悩み事をかかえているかも知れません。この行動こそが、「思いやり」という目に見えない温かい気持ちなのです。

ほかに、みんなが出来ることは、どんなことがあるでしょうか? 例えば、お母さんに「何かお手伝いをしようか?」とか、お母さんから「肩が痛いわぁ~」なんて言葉が聞こえてきたら「肩をたたこうか?」などの声掛けが、思いやりなのです。また、お父さんが仕事から帰ってきたら「おかえり」なんて声を掛けて、冷たい麦茶など手渡すだけで、きっと、笑顔と「ありがとう」という言葉が返ってくるはずです。

「たったこれだけ?」と、思うかも知れませんが、これから先は、あなたの気づきや思いつきを言葉にしたり、行動したりすることで、家族の中で、「思いやり」の輪が広がります。

思いやりそれは、あなたの気持ちが形になったものです。

クラスの中での思いやり

クラスの中での思いやりってどんなことがあるかな?

例えば、こんな姿を見かけたりしませんか?

  1. 授業の時に教科書を忘れてしまった友達がいる。
  2. 休み時間に皆が楽しそうに遊んでいる時、一人ぼっちで寂しそうにしている友達がいる。
  3. ‘からかい’や‘陰口’をよく言われている友達がいる。
  4. クラスになじめない友達がいる。

このような時、あなたやクラスの友達はどのようにしてきましたか? 気がつかない人もいるで しょうが、見て見ぬふりをしていたりしていませんでしたか?

これからは、上にあげたような友達に気がついたら、どんな気持ちでいるか、ちょっと思いやってみてください。相手の立場にたって思いやることは、社会生活をしていく上で必要なことであり、また、とても大切なことでもあります。

 そして、そのような友達には勇気を出して、‘なにか働きかけ’が出来れば素晴らしいですね。ただし、どのような働きかけをするのがよいか、には正解はないと思います。自分だったら、こうして欲しいと思うだろうなぁ~と、相手の立場や気持ちを思いやった結果でもよいでしょう。その他、あなたの‘友達への思いやり’に基づく行動であればよいと思います。

乗り物の中での思いやり

「ここなび」を読んでいる皆さんは、移動するときに交通機関を利用しますよね。今皆さんが電車かバスに乗り座っているとします。その時、皆さんの近くに身体に障がいを持つ人、妊娠している人、杖を使う高齢の人など、立っていることが難しそうな人達、そして重たそうな荷物を持っている人がいることに気づきます。この時、皆さんの心の中ではどんな思いが交差するでしょうか?皆さんはすぐに自分が座っている席から立ち上がり、立っているのが大変な方へ「どうぞかけてください」とか「荷物を持ちましょうか?」と声をかけられますか?

 席を譲ることや荷物を持ってあげることが少し恥ずかしい気持ちになり、どうしようかな?と迷うのではないでしょうか。皆さんの中には勇気をだして行動する人もいると思います。この時の心の動きは他の人の大変さを感じ取り、それを支援したいという気持ちからくるものです。この行動を「思いやり」といいます。

こうした皆さんの行動は、乗り合わせている人々へとても爽やかな感動を与えるでしょう。そして、皆さんも「ありがとう」と言われたら嬉しい気持ちになり何かいいことをしたような感じになるのではないでしょうか。

 もしも、ちょっと勇気をだせず、また、恥ずかしくて声をかけられなかったあなたは・・・・、今すぐできなくてもいいんですよ、あなたの思いを行動にできる機会がきっとありますからね。

時々、乗り物の中で仲間同士で大きな声で会話をしたり、座っている席の隣に荷物を置いたり、足を投げ出したり組んでいたり、また、携帯電話で話しをしていたり、ヘッドホンから漏れるほどの大きなボリュウムで音楽を聞いているなど、乗り合わせている人が不愉快だなと感じる場面に会うことがありますよね。こんな行動をしている人は、乗り合わせている多くの人達の気持ちを理解出来なくて、「思いやり」を忘れている人だなと思ってしまいますよね。

 自分が嫌だなと感じることは、他の人にとってもたぶん嫌だろうなと感じる心が大切ですね。「思いやり」は毎日の生活の様々な場面で学ぶ機会があります。マナーを守った行動が「思いやり」につながりますよ。

思いやる気持ちを義援金に託して・・・「社会の中での思いやり」

3月11日、東北・関東に大地震と巨大津波が襲いました。その後、福島の東電第一原発事故が発生し今、復興の足かせになっています。皆さんの親戚や知人にも被災された方がいらっしゃるのではないでしょうか。肉親を失い家や全ての財産まで流された方、本当にお気の毒です。

報道によると沿岸部の地域で2万人を超える死者、行方不明者が出たそうです。震災で両親が死亡や行方不明の18歳未満の子どもは、200人を超えるそうです。自然の猛威(もうい)に私たちは、為(な)すすべもありませんでした。

まだ、家を失って避難所生活の人々や他県で暮らす家族などたくさんいらっしゃいます。今、国を挙げて復旧・復興が進められていますが、全国から支援に向かうボランティア、各地からの義援金のほか、世界の国々からも人的、物的な支援も寄せられています。また、テレビを通してですが、被災されてもなお、相手を気遣う東北の人々の姿勢やマナーの素晴らしさに感動を覚えます。「日本人は、なんと礼儀正しく律儀なのでしょう」と、世界のメディアでも日本人の国民性が紹介され、感動と誇りに胸が熱くなります。

被災された人々の中には、「病気で学校を休んでいたために命を落としてしまった小学生」「逃げる途中お孫さんの手を離してしまったと哀しむおばあさん」「祖母を介護中津波に襲われ亡くされたお子さん」「さようならと、先に帰った友達が亡くなって悲しむ同級生」「家族がバラバラに被災し、いまだに行方不明のお父さん」そして、家が流されアルバムなど思い出までも失い避難所暮らしの人々。この様に、親兄弟や親戚、友達を失った子ども達がどれだけ大きな心の傷を負ったかと思うと、とても心が痛みます。では、私たち、中高生はどのような援助の手を差し伸べたらよいのでしょうか?

愛する人を失い悲しみにくれる被災者を慰めるために、すぐにでも駆けつけ言葉をかけてやりたい、ボランティアもしたい、誰もがそんな気持ちになります。でも、私達は、ただちに、陸前高田市や南三陸町などへは行けません。何かしなければと思った人々が、現場に駆けつければ、現場は混乱します。ただ、被災者のためになにができるか、痛みを共有し何事も粛々とやることです。例えば、風評被害(※注1)の本質を正しく判断できる力をもつ事もその一つです。

生徒会で募金活動をして義援金を送った町田市の中学・高校もたくさん報告されています。また、街頭に立ち募金を呼びかけた高校生もありました。私たちが今、為(な)すべきことは、自分の仕事や勉学、家事など、目の前のことを粛々とやることが、明日の日本のため被災者のためになるのです。そして、「災い転じて福となす」(※注2)よう冷静に継続的にやるのです。その一生懸命の姿が、津波や原発事故を不条理にも受けた弱い立場の子供たち、そして、苦しんでいる被災された方々に愛の手を差しのべることになるのです。

東日本大震災で私たちが学んだことは、人間は一人では生きられない、一人の力には限界があるが、お互いに扶(たす)け合えば生きられること。だから、日頃から人と人との繋(つな)がりを大切にし、常に、積極的に優しい気持ちを持って生活して欲しいのです。つまり、人から貰(もら)う幸せだけでなく、人のためにする幸せもあるということです。中高生としては、今できるお小遣いの中から義援金(50円100円でも)に思いやる心を託すことも価値ある行動になるのです。町田にも被災地から避難してきた方々がいらっしゃいます。今、目の前にいる人に親切に心をこめて接すれば、その温かさは人から人へと伝わりやがて、被災地に届くものと確信しています。

最後に、目の前の友人にあなたは、どのように接していますか?

友達を差別していませんか、温かさと思いやりの心で接していますか、友達をいじめたり下級生をいじめたりはしていませんか?

いじめは人間として恥ずかしい行いです。それは、それぞれが、たった一つのかけがえのない命だからです。人の苦しみや痛みのわかる人になって欲しい、それが、私達の願いです。

※注1 風評被害根拠のないうわさ話しなどによって、本来直接関係の無い人達までが被害を受けること。
※注2 災い転じて福となす不幸な出来事があってもくじけずに、
            むしろそれをうまく利用して幸せをつかむきっかけにすること。